大切な方を亡くされた際、警察から「死体検案書(したいけんあんしょ)」を渡され、どうすればよいかわからず不安になってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、万が一に備えて事前に知識を持っておきたいと考えている方もいるかもしれません。
死体検案書は、突然の不幸や自宅での逝去などの際に発行される重要な書類です。聞き慣れない書類に不安を感じるかもしれませんが、適切な手順を知っていれば冷静に対応することができます。
突然の出来事で葬儀の手配やご遺体の搬送にお困りの際は、24時間365日いつでも相談できる「家族葬のアイリス」にお気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご遺族のお気持ちに寄り添い、迅速にサポートいたします。
この記事では、死体検案書の概要や死亡診断書との違い、受け取った際の対応方法や注意点についてわかりやすく解説します。
▼この記事のポイント
- 死体検案書は、生前かかっていた傷病によらない、突然死などの場合に発行される証明書
- 死亡診断書と発行条件は異なるが効力は同じ
- 死亡を知った日から7日以内に死体検案書と一体になった死亡届を出し、火葬許可証を取得する
1. 死体検案書の概要
死体検案書とは?
死体検案書とは、医師がご遺体を診察・検案し、死因や死亡時刻、死亡の状況などを医学的・法律的に証明するための書類です。
死亡手続きや火葬・埋葬を行うために不可欠な書類であり、法律(医師法第20条)に基づき発行されます。
なぜ死体検案書が発行されるのか?
亡くなった原因が「かかりつけ医による継続的な診療下の病死」ではない場合、死体検案書が発行されます。具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 自宅や外出先での突然死・急死
- 交通事故や転倒などの事故死
- 原因不明の死亡(孤独死などを含む)
- かかりつけの病院以外で亡くなった場合
このような場合、事件性の有無や正確な死因を確認するために、警察への届出と警察医・監察医による「検案(遺体の調査)」が行われ、その結果として死体検案書が作成されます。
2. 死亡診断書との違い
死体検案書とよく混同されるものに「死亡診断書」があります。この2つは役割が似ていますが、発行される条件や前提が異なります。
| 項目 | 死亡診断書 | 死体検案書 |
| 発行されるケース | 病院で入院中や診療中の傷病で亡くなった場合 | 診療中の傷病以外
突然死、事故死、自宅死など |
| 担当する医師 | 診療を行っていた担当医や主治医、当直医 | 警察医、監察医、または警察から依頼された医師 |
| 記入根拠 | 生前の診療経過に基づく | 遺体の外表観察や検案に基づく |
実は、提出用書類の用紙自体は「死亡診断書(死体検案書)」という1枚の共通フォーマットになっており、医師が該当しない方の名前を二重線で消し、該当する方を残して発行します。どちらの書類であっても、役所手続きや火葬許可証の取得における効力は同じです。
3. 死体検案書を受け取った場合の対応方法
死体検案書を受け取ることになった場合、以下の対応を順番に行いましょう。
① 落ち着いて対応する
警察や医師が関与すると「警察の取調べを受けるのでは」と不安になるかもしれませんが、死亡に関する証明書を作るために、法律で決められた通常の手順ですので心配することはありません。警察や医師の指示に従い、落ち着いて連絡を待ちましょう。
② 警察医・監察医からの指示を確認する
警察による検案が終了すると、警察からご遺族へ「検案終了」の連絡と、ご遺体の引き取り要請・死体検案書の交付に関する案内が入ります。指示された警察署や監察医事務所へ向かいましょう。
③ 検案料を準備する
死体検案書の発行や検案には、検案費用(検案料・搬送費・遺体処置費など)が発生します。
費用は地域や状況によって異なりますが、およそ2,3万円〜10万円程度が相場です。保険適用外であり、死亡診断書よりも高額になる場合が多いです。なぜかというと、通常の診療行為ではなく特殊な検案・鑑定手続きとなり、場合によっては早朝・深夜の対応が必要となるためです。
④ 葬儀社へ連絡・引き取り手配をする
検案を終えたら、故人様のご遺体を自宅や安置施設へ搬送する必要があります。警察の安置場所には長期間ご遺体を預けておくことができないため、速やかに搬送の手配をしなければなりません。
もしも急ぎ対応が必要で、どこに連絡すべきか分からない場合は、24時間搬送対応が可能な「家族葬のアイリス」へご連絡ください。警察署への迎えから安置場所への移動まで、スムーズに手配いたします。
4. 死体検案書交付後の一般的な流れ
死体検案書を受け取った後の具体的なスケジュール・流れは以下の通りです。
ステップ1:死体検案書の受け取りと内容確認
医師または警察から死体検案書を受け取ります。受け取ったら、故人様の氏名・生年月日・死亡日時などの記載内容に誤りがないか必ず確認してください。
ステップ2:葬儀社への遺体搬送依頼
警察署等から安置場所(自宅や葬儀場の安置室)へご遺体を搬送します。まずは故人様を安心できる場所へご安置してから、葬儀や各所への手続きを進めていく形になります。
ステップ3:死亡届の記載と役所への提出
死体検案書の左半分は「死亡届」になっています。届出人(親族や後見人など)の氏名や住所、本籍などを記入し、役所の戸籍課へ提出します。
※注意:法律(戸籍法)により、死亡の事実を知った日から7日以内に提出することが義務付けられています。期限を過ぎると過料(行政による金銭罰)が科される場合もあるため、早めの提出が必要です。
ステップ4:「火葬許可証」の取得
役所に死亡届を提出すると、「火葬許可証」が発行されます。火葬許可証がなければ火葬を行うことができません。この火葬許可証を火葬場に提出すると、火葬場による印が押されて火葬後に返却されます。ここの許可証は「埋葬許可証」と呼ばれ、納骨時に必要な書類となります。
- 監修者コメント:紛失を防ぐために、埋葬許可証は骨壺の下や骨箱の中に入っていることが多いです。
一枚の用紙に複数の役割があったり(死亡届、死亡診断書、死体検案書)、一つの書類が別の名前で呼ばれることになったり(火葬許可証、埋葬許可証)、混乱しやすいためご自身で手続きを行う場合は注意が必要です。
5. そのほかに注意すべき点・やってはいけないこと
事件や突然の出来事に遭遇し、良かれと思って取った行動がトラブルにつながるケースがあります。以下の点に注意してください。
① 警察が到着するまで遺体を動かさない
自宅で家族が倒れて亡くなっているのを発見した場合、体や衣服を動かしたり、部屋を片付けたりしてはいけません。
なぜなら、死因特定や事件性の有無を確認する警察の現場鑑識・調査を妨げてしまう可能性があるためです。発見したらすぐに119番(救急)または110番(警察)へ連絡し、指示があるまで現場の状態をそのまま保ちましょう。
② 死体検案書は必ず事前に複数枚コピーを取っておく
死体検案書(死亡届)の原本は、役所に提出すると返却されません。
しかし、その後の手続き(生命保険の請求、銀行口座の凍結解除、年金手続き、遺族年金請求、不動産の名義変更など)で死体検案書の提出・提示を求められます。
そのため、提出する前に、A4サイズで5〜10枚程度コピーをとっておくことを強くおすすめします。再発行を依頼すると、再度数千円〜数万円の費用と発行までに数日〜数週間の時間がかかってしまうためです。
6. 死体検案書に関するよくある質問
Q1. 海外で家族が亡くなった場合、死体検案書はどうなる?
現地の医師によって死亡診断書(または死体検案書)が作成されるため、日本国内へご遺体または遺骨を移送した上で、現地の日本大使館・領事館や国内の市区町村役場へ死亡届の提出手続きを行います。国内と異なるのは、診断書もしくは検案書の日本語訳文(翻訳者の住所氏名)が必要になる点です。外国で火葬まで終えた場合は、火葬済の証明書と日本語訳文も必要です。
Q2. 検案費用が高額で支払えない場合はどうすればいい?
検案費用は原則として全額自己負担ですが、生活保護受給世帯などの場合は葬祭扶助制度の対象となる可能性があります。事前に担当のケースワーカーや自治体の福祉課窓口へご相談ください。なお、検案書の発行費用を立て替えた場合も葬祭扶助の範囲内で戻ってきますので、担当ケースワーカーや葬儀社へ確認し、領収書をとっておきましょう。
Q3. 警察に引き渡されてから遺体が戻るまで何日くらい?
一般的な検案(身体に傷をつけない外表の検査)であれば1〜2日程度で引き渡されます。ただし、死因特定のために解剖(司法解剖や行政解剖)が必要となった場合は、数日から1週間程度かかることがあります。
Q4. 死体検案書があるとエンバーミング(遺体衛生保全)は受けられる?
はい、受けられます。検案が完了し、死体検案書が発行された後であれば、エンバーミング処置を実施することが可能です。また、原則として2親等以内の家族による同意が必要で、エンバーミング同意書もしくは依頼書への記入、提出も必要です。
Q5. 死体検案書(死亡届)の届出人欄は直筆でないといけない?
はい、原則として届出人本人が署名(自署)します。戸籍法の改正により押印は省略しても問題ありませんが、誤字脱字がないよう正確に記入する必要があります。もし、身体的な理由等によって届出人による署名が難しい場合、他に届出人となれる人がどうしてもいない場合は代筆が認められるか役所へ確認しましょう。
Q6. 死体検案書は医療保険や生命保険の請求にも使える?
はい、使用できます。ただし、保険会社によっては独自の診断書フォーマットへの記入を求められる場合や、死体検案書のコピー提出で足りる場合など対応が異なるため、事前にご加入の保険会社へ確認しましょう。
- 監修者コメント:いざというとき、ご遺族は直近に迫った葬儀や手続きに終われ、保険の手続きに関することまで考えることは難しいです。そのため、全てを調べておくのではなく、必要な場合にそなえて死亡届のコピーを多めにとっておくのが望ましいです。
Q7. 死体検案書が発行されないとどうなる?
死亡届を提出することができないため火葬許可証が交付されません。そのため、火葬や葬儀を行えずにご遺体の保管が長期化してしまいます。また、死亡の法的な証明ができないため、銀行口座の凍結解除や不動産の相続手続きなども一切進められなくなります。
まとめ:焦らず一つずつ手続きを進めましょう
死体検案書は、病気以外での死亡や突然死の際に発行される公的な書類です。突然の出来事に驚かれるかもしれませんが、以下のステップを意識して落ち着いて対応しましょう。
- 警察や医師からの指示に従う
- 検案費用の準備をする
- 葬儀社へ遺体搬送を依頼する
- 死体検案書のコピーを取り、役所へ死亡届を提出する
突然の不幸で何から手をつければよいか分からないときや、葬儀の準備に不安があるときは、無理にご自身だけで抱え込まず専門家を頼ることが大切です。
「家族葬のアイリス」では、24時間365日、早朝・深夜を問わずご遺体の搬送や事前相談を受け付けております。ご遺族のお気持ちに寄り添い、親身になって手続きや葬儀のご案内をさせていただきますので、いつでもお気軽にご相談ください。