喪主挨拶は「カンペ」を使ってもよい?注意点と喪主の挨拶文例をわかりやすく解説

お葬式では、喪主が挨拶をする場面が少なくありません。とはいえ、人前で挨拶をすることに慣れていない場合、何をどのように話せばよいか戸惑ってしまうことでしょう。また、事前に挨拶を考えていても、緊張のあまり何を話すべきか忘れてしまうこともあると思います。
では、お葬式での喪主挨拶に、カンニングペーパー(カンペ)を使ってもよいのでしょうか?また、喪主挨拶にカンペを用意する場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は、喪主挨拶でカンペを使うことの是非やカンペを使うメリット、カンペを使う際の注意点などについてくわしく解説します。
なお、当サイト「家族葬のアイリス」は全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、喪主挨拶の内容についてもご相談いただけます。喪主挨拶についても相談できる信頼できる葬儀社をお探しの際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご連絡ください。
喪主挨拶でカンペを使うことは問題ない
結論としては、喪主挨拶でカンペを使ってもまったく問題ありません。
実際に、カンペを用意して喪主挨拶に臨む人は数多く存在します。喪主挨拶に少しでも不安がある場合には、あらかじめカンペを用意してポケットなどに忍ばせておくとよいでしょう。
喪主挨拶でカンペを使う主なメリット
喪主挨拶でカンペを用いることには、多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ解説します。
- 伝えたい内容をあらかじめ整理できる
- 喪主挨拶に落ち着いて臨みやすくなる
- 大切な内容を間違えにくくなる
伝えたい内容をあらかじめ整理できる
1つ目は、伝えたい内容をあらかじめ整理できることです。
人前で改まった挨拶をすることに日ごろから慣れている人でない限り、喪主挨拶をすべき場面になってから、即興で話す内容を組み立てるのは至難の業です。即興で挨拶をしようとすると葬儀の場にはそぐわない不適切な内容を話してしまったり、挨拶が長くなり過ぎて参列者を疲れさせてしまったりするおそれも生じます。
あらかじめカンペを作成することで、話す内容を整理でき、伝えたい内容を過不足なく伝えやすくなります。
喪主挨拶に落ち着いて臨みやすくなる
2つ目は、喪主挨拶に落ち着いて臨みやすくなることです。
喪主挨拶で大切なことは、伝えたい内容を簡潔にはっきりと伝えることです。カンペがあることで「もし、内容を忘れてしまってもカンペを参照できる」との想いから緊張が和らぎ、落ち着いて喪主挨拶をしやすくなるでしょう。
大切な内容を間違えにくくなる
3つ目は、大切な内容を間違えにくくなることです。
故人の享年や死因など通常時には難なくわかっていることであっても、いざ喪主挨拶の場に立つと、緊張のあまり一時的に忘れてしまう場合があります。あらかじめカンペを用意して要点を記載しておくことで、大切な内容を間違えづらくなる効果が期待できます。
葬儀で喪主が挨拶すべき主なタイミング
通夜や葬儀において喪主が挨拶すべきなのは、どのようなタイミングなのでしょうか?ここでは、喪主挨拶が必要となる一般的な場面を紹介します。
- 通夜の閉式時
- 通夜振る舞いの開始時
- 通夜振る舞いの終了時
- 出棺時
- 精進落としの開始時
- 精進落としの終了時
なお、家族葬など参列者が限定されている場合には、一部に挨拶を省略することもあります。実際の流れや喪主挨拶のタイミングについては、葬儀社の担当者へご相談ください。
通夜の閉式時
通夜が閉式となる際は、喪主から参列者へ向けて挨拶をすることが一般的です。ここでは、通夜参列へのお礼を伝えるとともに、通夜振る舞いに関する案内や翌日の葬儀・告別式の案内などを行います。
通夜振る舞いの開始時
通夜振る舞いの開始時には、喪主から参列者へ向けて挨拶をすることが一般的です。ここでは、改めて参列のお礼を伝えるとともに、故人との最後の会食を楽しんでほしい旨などを伝えます。
なお、喪主挨拶に続けて行われる通夜振る舞いの献杯は別の人に依頼する場合がある一方で、喪主がそのまま献杯までを担う場合もあります。
通夜振る舞いの終了時
通夜振る舞いの終了時には、喪主から参列者へ向けて挨拶をすることが一般的です。ここでは、名残惜しいものの通夜振る舞いの終了時間となったことを伝えるとともに参列のお礼を伝え、翌日の葬儀・告別式について簡単な案内を行います。
出棺時
葬儀・告別式を終えると、火葬場へ向けての出棺となります。出棺時には、参列者へ向けて喪主が挨拶します。これが、複数ある喪主挨拶の中で、もっとも重要といえるでしょう。
出棺時の喪主挨拶では改めて参列のお礼を伝えるとともに、故人の享年やエピソード、生前お世話になったお礼、遺族との変わらぬ付き合いのお願いなどを伝えます。
精進落としの開始時
火葬の後、火葬場まで同行した近親者と僧侶とで会食の場を設けることがあります。これを「精進落とし」といいます。
精進落としの開始時には、喪主が挨拶をすることが一般的です。ここでは、参列者を労う言葉やお礼の言葉などを伝えることが多いでしょう。
精進落としの終了時
精進落としの終了時にも、喪主が挨拶を行います。ここでは、最後までお付き合いいただいたお礼を伝えるとともに、次回の法要日時などを案内します。
喪主挨拶で失敗しないポイント
喪主挨拶で失敗しないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?ここでは、喪主挨拶で失敗しないための主なポイントを6つ解説します。
- 大きな声で、ゆっくり話す
- 無理にうまく話そうとしない
- 内容を簡潔にまとめる
- 忌み言葉を避ける
- カンペを用意する
- カンペの内容を事前に式場スタッフに確認してもらう
大きな声で、ゆっくり話す
1つ目のポイントは、大きな声でゆっくりと話すことです。
高齢化が進行している昨今、葬儀の参列者の多くが高齢であることも少なくありません。喪主挨拶は、高齢の参列者にも聞き取りやすいよう、大きな声でゆっくり話すとよいでしょう。
無理にうまく話そうとしない
2つ目は、無理にうまく話そうとしないことです。
葬儀での喪主挨拶は、自身をアピールするスピーチの場ではありません。また、テレビで流れる著名人の葬儀における弔辞などは人前で話すことに慣れたプロによるものであり、通常の葬儀でそのレベルの挨拶が求められているわけでもありません。
そのため、無理にうまく話そうとするのではなく、参列者に感謝の想いを伝えることを心掛けるとよいでしょう。
内容を簡潔にまとめる
3つ目は、内容を簡潔にまとめることです。
喪主挨拶にかける時間の目安は、2~3分程度です。長々と挨拶をしてしまえば、聞いている参列者も疲れてしまうことでしょう。そのため、伝えたい内容を簡潔にまとめることがポイントです。
忌み言葉を避ける
4つ目は、忌み言葉を避けることです。
忌み言葉とはその場面において「縁起が悪い」として忌避される表現です。葬儀の場面では一般的に、次の言葉が忌み言葉とされています。
- 不幸が続くことを連想させる言葉:「繰り返し」「続いて」「追って」「重ねて」など
- 同じ表現を繰り返す重ね言葉(不幸が続くことを連想させるため):「重々」「追々」「続々」「返す返す」など
- 生死を直接的に表す言葉:「死んだ」「生きていた頃」など
また、仏式の葬儀では「迷う」や「浮かばれない」も忌み言葉となります。これらは、故人が成仏できないことを連想させるためとされています。
同様に、宗教ごとに異なる表現にも注意しましょう。たとえば、「成仏」や「供養」などは仏教独自の表現であるため、神道やキリスト教の葬儀では使用できません。
カンペを用意する
5つ目は、カンペを用意することです。
冒頭で解説したように、喪主挨拶ではカンペを用意して構いません。カンペを作ることであらかじめ忌み言葉などもチェックできることに加え、落ち着いて喪主挨拶に臨みやすくなるでしょう。
カンペの内容を事前に式場スタッフに確認してもらう
6つ目は、カンペを作成したら、あらかじめ式場のスタッフに内容を確認してもらうことです。
先ほど紹介した忌み言葉や宗教の独自表現などは、自分でチェックしても気付けないこともあるでしょう。式場のスタッフにあらかじめカンペを確認してもらうことで、不適切な表現を避けやすくなります。
喪主挨拶でカンペを作る際の注意点・ポイント
喪主挨拶のためにカンペを用意する際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか?ここでは、主な注意点とポイントを解説します。
- スマホやタブレットではなく紙で用意する
- 派手な色合いのものは避ける
- すぐに取り出せる位置に入れておく
- 自分の言葉で話すことを心掛ける
スマホやタブレットではなく紙で用意する
喪主挨拶のカンペはスマホやタブレットではなく、紙で用意しましょう。「カンペを用意して参照する」という行為としてはスマホであっても紙であっても同じであるものの、スマホなどのデジタル端末を見ながら挨拶をすることに抵抗を感じる人も少なくないためです。
なお、カンペは手書きである必要はないため、デジタルで作成したものを印刷して用意することは構いません。
派手な色合いのものは避ける
喪主挨拶のカンペを記載する用紙は、白色などのシンプルなものを選びましょう。派手な用紙に記載すると、その場から浮いてしまい、違和感が生じるおそれが高いためです。
すぐに取り出せる位置に入れておく
喪主挨拶用に用意したカンペは、喪服のポケットなどすぐに取り出せる位置に入れておきましょう。喪主挨拶が始まってからカンペがすぐに取り出せないことに気づくと、そのこと自体に焦ってしまうおそれがあるためです。
また、喪主挨拶のカンペは自分にとって十分に見える大きさの文字で記載することをおすすめします。せっかくカンペを用意しても文字が小さすぎると、喪主挨拶をしながら確認することが難しくなるためです。
自分の言葉で話すことを心掛ける
喪主挨拶のために用意するカンペは文例などをそのまま転記するのではなく、自分の言葉で話すことを心掛けて作成しましょう。
喪主挨拶にはある程度定型的な流れがあるため、文例を参照すること自体は問題ありません。しかし、特に出棺前の挨拶では故人様にまつわる具体的なエピソードを盛り込むなど、自分の言葉を盛り込むことをおすすめします。
カンペに記載したい喪主挨拶の例文
最後に、カンペを作る際の参考となるよう、喪主挨拶の例文をシーン別に紹介します。実際のケースでは、具体的な状況に応じて内容を適宜修正してご利用ください。
なお、紹介する例は父である「葬儀 太郎」氏が85歳で亡くなり、長男の「葬儀 一郎」氏が喪主である場合を前提としています。
通夜閉式時の喪主挨拶
通夜閉式時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
本日は、お忙しいところ父・葬儀太郎の通夜にお越しいただき、誠にありがとうございました。
生前賜りましたご厚情に対し、厚く御礼申し上げます。
この後、気持ちばかりの別席を設けております。お時間の許す方は、ぜひおくつろぎいただきながら父を偲んでいただければと存じます。
なお、明日の葬儀・告別式は、通夜と同じ会場で〇時より行います。
本日は、誠にありがとうございました。
==
通夜振る舞い開始時の喪主挨拶
通夜振る舞い開始時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
本日はお忙しい中、父・葬儀太郎の通夜にお越しいただき、ありがとうございました。
このように皆様にお集まりいただき、父もさぞかし喜んでいることと存じます。
ささやかではございますが、お食事を用意いたしました。
お時間の許す限りお召し上がりいただきながら、父との思い出話などお聞かせいただければ幸いです。
==
通夜振る舞い終了時の喪主挨拶
通夜振る舞い終了時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
皆様、本日は誠にありがとうございました。
誠に名残り惜しくはございますが、夜も更けてまいりましたので、このあたりでお開きとさせていただきたく存じます。
なお、明日の葬儀・告別式は通夜と同じ会場で〇時から行います。ご都合がつきましたら、ご参列いただければ幸いです。
それでは、どうぞ足元にお気をつけてお帰りくださいませ。本日は、誠にありがとうございました。
==
出棺時の喪主挨拶
出棺時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
本日はお忙しいところ、父・葬儀太郎のためにご会葬くださいまして、誠にありがとうございました。遺族・親族を代表いたしまして、長男である私・葬儀一郎から一言ご挨拶させていただきます。
お陰を持ちまして葬儀・告別式も滞りなく進行し、間もなく出棺の運びとなりました。このように多くの皆様方にお見送りいただき、父もさぞかし喜んでいることと存じます。
父は今年の春に倒れ、その後は入院しておりました。家族一同、回復を願っておりましたが、〇月〇日、入院中の病院にて眠るように息を引き取りました。85歳でした。
ここに、生前の故人へのご厚情に深く感謝しますとともに、後に残されました私ども遺族・親族に対しましても、父の生前中と変わらぬご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
簡単ではございますが、お礼の言葉にかえさせて頂きます。本日は、誠にありがとうございました。
==
精進落とし開始時の喪主挨拶
精進落とし開始時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
本日は父のためにご参列くださいまして、誠にありがとうございました。
皆様のお力添えのお陰で、葬儀・告別式をつつがなく終えることができました。
ささやかではございますがお食事の席をご用意いたしましたので、お時間の許す限りおくつろぎいただければと存じます。
本日は、誠にありがとうございました。
==
精進落とし終了時の喪主挨拶
精進落とし終了時の喪主挨拶の例は、次のとおりです。
==
本日は父のためにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
皆様から私の知らなかった父の話を伺うことができ、感無量でございます。
もっとお話しを伺いたいところではございますが、皆様お疲れのことと存じますので、このあたりでお開きとさせていただきます。
父がいない生活にはまだ慣れませんが、家族一同、助け合ってまいりたいと存じます。皆様、どうか今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
なお、四十九日の法要は〇月〇日の〇時からを予定しておりますので、ぜひご参列いただければ幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
==
まとめ
喪主挨拶についてカンペを使用することの可否や、喪主挨拶のポイント、カンペを用意する際の注意点などを解説しました。
喪主挨拶にあたっては、カンペを使用しても構いません。カンペを用意することであらかじめ話す内容が検討できるほか、喪主挨拶に落ち着いて臨みやすくなるでしょう。
喪主挨拶のカンペはスマホなどではなく、シンプルな色の紙で用意することをおすすめします。また、喪服のポケットなど、すぐに取り出しやすい位置に入れておくと安心です。
家族葬のアイリスは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っています。喪主挨拶についても相談できる信頼できる葬儀社をお探しの際には、家族葬のアイリスまでご相談ください。お電話は24時間365日お受けしており、深夜や早朝であってもご遠慮いただく必要はありません。
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