遺言を残したいと考えた時には
法で定める一定の方式によって
残さなければなりません。
財産分けなど残された相続人の権利義務に直結することですから、
法で定めた厳格な方法で残された遺言のみが有効となるのです。
せっかく遺志を残しても法で定めた方式に則っていないものは無効となり、
あなたの遺志は実現されないことになってしまいます。
その場合は法定相続分に従って相続されますが、
せっかくの遺言ですから有効なのもを作成できるようにしたいですね。
■遺言を残す方法
遺言を残す方法は法律でいくつか規定されています。
まずは「普通方式」によるものです。
こちらは自分で書面に文字を書き記す「自筆証書遺言」、
公証人という公的機関の証明力が入る「公正証書遺言」、
遺言内容の秘密性を担保できる「秘密証書遺言」があります。
代表的なのは自筆証書遺言と公正証書遺言ですが、
こちらは別の回で詳述します。
秘密証書遺言は公証人が関与するので安全性や内容の秘密担保など
良い面もあるのですが、実際には手続きが煩雑であるため
利用件数はあまりありません。
事実上他の二つの方法で行われているのが現状です。
もう一つの方式が「特別方式」です。
こちらは重病人などの危急者や遭難者など
イレギュラーな場面の為に用意されている方法です。
利用例はほとんどないので詳述は避けますが、
死亡危急者の遺言
船舶遭難者の遺言
在船者の遺言
伝染病隔離者の遺言
などがあります。
■ビデオテープによる遺言の有効性
遺言について定められている民法はもう随分昔に作成されたものです。
当時の英知を結集して作られたものであはりますが、
急速に発展する社会のためにいちいちこまめに改正はされません。
少し前にはビデオテープ、今ではデジタルレコーダーなどが
普通に使える世の中ですから、
これを使って遺言を残したいと考える方もいます。
確かに映像で気持ちを伝えるという方法は
納得性を高める効果がありますが、
実はこういった方法でする遺言は法的には無効になってしまいます。
これらは編集ができるという意味で偽造変造の可能性を排除できないので、
法律的な拘束力を持つ遺言としては無効になってしまうのです。
やはり法で定めた遺言書の方法で残さなければなりません。
ただしビデオ類は使い方を工夫することで有効性を発揮します。
例えば遺言書の付言事項の代わりにビデオで家族への感謝の気持ちや
「なぜこのような遺産分配にしたのか」を説明することによって相続人の納得感を高め、
争いを回避することに役立ちます。