たくさんの愛情をくれた父
5年半の闘病生活を終えて、55歳という年齢で天国に旅立ってしまった父。
私の成人式を誰よりも楽しみにして「○○の成人式までは頑張るけん」と言っていたのに、その直前に容態が急変し、結局その日を迎えることなく逝ってしまいました。
昨年、私の成人式の前撮りということで、私と妹が振袖を着て、最後の家族写真を撮影しました。
父はその写真を病室の枕元に飾って、看護師さんや担当医の先生に嬉しそうに見せていました。
闘病中の辛い時期ではありましたが、カメラマンさんが以前からお世話になっていた方だったこともあり、父の自然な笑顔をフレームにおさめることができました。
今では自宅のリビングに飾っています。
父の笑顔が家に戻ってきたようです。
女ばかりの家族のなかで、父は母にも私たち姉妹にも本当に優しく「パパのような男性と結婚できた母は本当に幸せだなぁ」と、いつも友達に話していたほどです。
私たち姉妹は子供のころからバトントワリングのチームに所属していたので、父はその送り迎えをずっとしてくれていました。
仕事で疲れているのに、自分の娯楽で休日を過ごすことはほとんどなく、家族のために週末を費やし、平日も私たちの勉強を見てくれる子煩悩な父でした。
家族旅行に関しても、行き先を決めるのはいつも母でしたが、父は何ひとつ文句を言うことなく、チケットや宿の手配をしてくれていました。
「ママやおまえたちが楽しければいいんだよ」と、いつも私たちを優先させてくれた父に、何ひとつ親孝行らしいことができないままだったのは心残りですが、病気から解放されて天国で私たちを見守ってくれていると信じているので、父が悲しまないような立派な大人になって、父を安心させたいと思います。
母が喪主の挨拶で「私も娘たちもパパと出逢えて本当に幸せでした」と言っていましたが、一番幸せだったのは母じゃないかと思います。
娘の私たちは、父のような男性を身近で見てしまったので、きっと結婚相手を探すのに苦労するんじゃないかと心配です。
それほどに父との思い出は幸せなものばかりで、ひとつも忘れたくありません。
「パパ、これからもママと私たちを見守っていてね。今までいっぱいの愛情をありがとう」