葬儀のお金がない場合に「役所」への申請でもらえるお金は?葬儀費用を抑える方法とは

葬儀には、多くの費用が掛かります。では、葬儀費用を支払うお金がない場合、役所への申請で受け取れるお金にはどのようなものがあるのでしょうか?また、葬儀費用を抑える方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
今回は、葬儀費用がない場合に役所へ申請して受け取れるお金を紹介するとともに、葬儀費用を抑える方法などについてもくわしく解説します。
葬儀費用の基本
はじめに、葬儀費用の基本について解説します。
葬儀費用はどのくらいかかる?
経済産業省が実施している「特定サービス産業動態統計調査」によると、2024年12月における葬儀社全体の売上総額は577億6,800万円でした。これを、取り扱い総数である47,797件で割ると、1件あたりの平均売上(葬儀費用)は約120万円となります。平均値であるため、中央値はもう少し低いと予想されますが一つの参考となるでしょう。
葬儀費用は誰が払う?
葬儀費用を誰が支払うかについて、法律の決まりはありません。一般的には、喪主が支払うことが多いでしょう。ただし、いったんは喪主が立て替えて、後から故人の遺産から補填を受ける場合もあります。
葬儀費用はいつ払う?
葬儀費用を支払うべき時期は、葬儀社によって異なります。一般的には、葬儀の施行から1週間から10日後が支払期限とされることが多いでしょう。
なお、僧侶に支払うお布施などは、葬儀当日に現金でお渡しすることが基本です。
役所への申請で葬儀費用の補填が受けられる制度1:葬祭費
ここからは、役所へ申請することで葬儀に関するお金が受け取れる制度を紹介します。1つ目は「葬祭費」です。
葬祭費とは
葬祭費とは、国民健康保険に加入していた人が亡くなった際に受け取れるお金です。金額は自治体によって異なっており、1万円から7万円程度が目安です。
葬祭費を受け取る方法
葬祭費を受け取るには、故人が居住していた地域の担当窓口(保険年金課や後期高齢者医療担当窓口など)に申請します。
申請には、故人の国民健康保険証や葬儀をしたことが分かる書類(会葬礼状など)、請求人である喪主のマイナンバーカードなどが必要です。必要書類は市区町村によって異なる場合があるため、あらかじめ電話などで確認してから出向くとよいでしょう。
申請期限は、葬儀の施行から2年間です。
役所への申請で葬儀費用の補填が受けられる制度2:埋葬料
2つ目は「埋葬料」です。ここでは、埋葬料の概要を解説します。
埋葬料とは
埋葬料とは、健康保険(全国健康保険協会や共済組合など)に加入していた人が亡くなった際に5万円が受け取れる制度です。先ほど紹介した「葬祭費」と「埋葬料」の両方を受け取ることはできません。
埋葬料を受け取る方法
埋葬料を受け取るには、故人が加入していた健康保険(全国健康保険協会や共済組合など)の窓口に所定の書類を提出して申請します。必要書類は状況によって異なるため、請求先の組合などへあらかじめ確認するとよいでしょう。
申請期限は、死亡の翌日から2年間です。
役所への申請で葬儀費用の補填が受けられる制度3:葬祭扶助(生活保護葬)
3つ目は「葬祭扶助」です。別名、「生活保護葬」とも呼ばれます。ここでは、葬祭扶助(生活保護葬)の概要を解説します。
葬祭扶助制度とは
葬祭扶助制度とは、生活保護受給者や経済的に困窮している世帯を対象として、生活保護法に基づいて葬儀費用が援助される制度です。お金が支給されるのではなく、自治体から葬儀社に対して直接葬儀費用が支払われます。
葬祭扶助を受ける際の注意点
葬祭扶助を受けるには、必ず葬儀の前に申請しなければなりません。葬儀をしてからでは申請できないことには注意が必要です。
また、葬儀のプランを自由に選ぶことはできず、火葬だけを行う「直葬」のみが対象です。追加料金を支払ったからといって、自由にプランを追加できるわけではありません。
葬儀費用を支払うお金がない場合のその他の対処法
葬儀費用を支払うお金がない場合、費用の準備方法には、役所に申請する以外にどのような方法があるのでしょうか?ここでは、葬儀費用を支払うお金を確保する主な方法を4つ紹介します。
- 故人の預金の仮払い制度を活用する
- 故人の生命保険を活用する
- 葬儀ローンを活用する
- カードローンを活用する
故人の預金の仮払い制度を活用する
1つ目は、故人の預金の仮払い制度を活用することです。
前提として、故人のキャッシュカードの暗証番号が分かる場合であっても、カードを使ってお金を引き出すことはおすすめできません。なぜなら、キャッシュカードは銀行の約款で本人(故人)しか使用できないこととされていることが一般的であり、喪主が無断でこれを使用することは銀行との契約に違反することとなるためです。また、喪主が無断でお金を引き出せば、他の遺族から「故人のお金を盗んだ」などとして相続争いに発展するおそれもあるでしょう。
最終的に故人の預金を引き出すためには、故人の相続人全員で話し合って遺産をどのように分けるかを取り決め、これを書面(「遺産分割協議書」といいます)にまとめる必要があります。戸籍謄本や除籍謄本などの所定の書類とともにこれを銀行に提出することで、遺産分割協議書で取り決めた受取人に対して故人の預金が振り込まれるという流れです。
とはいえ、これら一連の手続きには時間を要し、葬儀費用の支払い時期に間に合わせることは現実的ではありません。そこで、お金がない場合に検討したいのが、「預金の仮払い制度」の活用です。
これは、遺産分割協議がまとまる前に、次の金額のうちいずれか低い額を上限として、故人の預金から仮の払戻しを受けられる制度です。
- 相続開始時の預金額×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分
- 150万円
ただし、これは払い出しを受ける相続人が「得をする」ものではなく、その後遺産分割協議をする際に考慮されるものです。
たとえば、故人の相続人が長男と二男の2人であり、故人の遺産が全部で1,000万円であったとします。このうち100万円について、長男がこの制度を使って払い戻しを受けた場合、その後の遺産分割狭義で長男が主張できる額の上限は450万円(=仮払い後に残った900万円×1/2)ではなく、400万円(=1,000万円×1/2-仮払いを受けた100万円)になるということです。
また、この制度を使うために他の相続人の同意は必要ないとはいえ、相談をすることなく仮払いを受けた場合には「お金を盗んだ」などの誤解から争いに発展するリスクがあります。そのため、制度として存在するとはいえ、実際には活用を慎重に検討する必要があるでしょう。
故人の生命保険を活用する
2つ目は、故人の生命保険を活用する方法です。
先ほど解説したように、故人の銀行預金は原則として喪主一人では解約できません。一方で、故人が生命保険を掛けており、受取人として喪主が指定されている場合には、遺産分割協議など他の相続人の協力は不要です。自身だけで請求手続きが可能であり、スピーディーな受け取りが実現しやすいでしょう。
そのため、故人が生命保険をかけていた場合には、これを活用して葬儀費用を支払うことが有力な方法となります。
ただし、生命保険金の請求から振り込みまでには一定の期間を要します。他の方法で葬儀費用を支払うことが難しい場合はその旨を葬儀社に説明し、生命保険金の入金まで支払いを待ってもらえないか相談するとよいでしょう。
葬儀ローンを活用する
3つ目は、葬儀ローンを活用することです。
葬儀ローンとは、葬儀費用を分割払いにできるサービスです。銀行や信販会社などがいったん葬儀費用を立て替えて葬儀会社に支払い、その後は銀行などへ定期的に返済することとなります。分割回数は最大36回や84回など長めに設定されていることが多く、無理のない返済がしやすいでしょう。
ただし、金利は高めである点に注意が必要です。また、葬儀ローンには審査があり、与信審査に通らなければ活用できません。とはいえ、通常のローンよりは審査基準が低い傾向にあるため、他の借り入れで断られた経験があっても審査に通る可能性があります。
葬儀社が信販会社と提携している場合もあるため、お困りの際は葬儀社へ相談してみるとよいでしょう。
カードローンを活用する
4つ目は、カードローンを活用することです。カードローンとは、銀行や信販会社、消費者金融が展開している個人向けの無担保貸付けです。
葬儀ローンとは異なり、資金の使途は葬儀費用の支払いに限定されません。他の方法で葬儀費用を確保できない場合には、カードローンが選択肢に入ります。
ただし、比較的審査の緩い消費者金融などでは金利は高めであることから、返済が可能であることをあらかじめシミュレーションしておくべきでしょう。
お金がない場合に葬儀費用をできるだけ抑える方法
お金がない場合には支払い方法を検討することと併せて、葬儀費用をできるだけ抑えることも考慮するべきでしょう。最後に、葬儀費用をできるだけ抑える主な方法を8つ解説します。
- グレードアップをしない
- 遺族は自家用車で移動する
- 会食をしない
- 無宗教式とする
- 複数の葬儀社から見積もりをとる
- 一日葬を検討する
- 直葬を検討する
- 信頼できる葬儀社に依頼する
グレードアップをしない
1つ目は、棺や祭壇などをグレードアップしないことです。
棺や祭壇などは、「最期くらい、よいものを」と考えてグレードアップする人も少なくありません。これらは上を見ればきりがなく、非常に高価なものも存在します。
しかし、お金がなく葬儀費用を抑えたいのであれば、グレードアップをするか否か慎重に検討するべきでしょう。
遺族は自家用車で移動する
2つ目は、ご遺族は自家用車で移動をすることです。
斎場から火葬場へのご遺族の移動にはマイクロバスを手配することも可能であるものの、マイクロバスを手配すれば費用が掛かります。そのため、費用を抑えるためには、ご遺族は自家用車に乗り合わせるなどして移動をするとよいでしょう。
会食をしない
3つ目は、会食をしないことです。
通夜の後に軽食を用意して参列者に振る舞ったり、火葬の後に近親者が集まって会食をしたりする場合があります。
しかし、食事を用意すれば、当然ながら費用がかかります。お金がなく葬儀に要する費用を抑えたいのであれば、会食をせず手土産に変えるなどの対応をするとよいでしょう。
無宗教式とする
4つ目は、無宗教式とすることです。
故人や遺族が特定の宗教を信仰していないのであれば、形式を整えるためだけに無理に僧侶などを呼ぶ必要はないでしょう。無宗教式とすることで、宗教者に支払うお布施の支払いが不要となります。
ただし、菩提寺がある場合には、菩提寺に読経などを依頼するべきでしょう。菩提寺があるにも関わらず無宗教式とすれば、菩提寺との関係が悪化し、納骨を断られるおそれがあるためです。菩提寺との紛争が発生すれば、トラブル解決や改葬などにさらに費用が掛かる可能性が生じます。
また、熱心に信仰をしていないと考える人であっても、無宗教式とすることで十分に供養ができたのか心配になり、「何となく後悔する」こともあるでしょう。そのため、少しでも気になるのであれば、この方法は採らないことをおすすめします。
複数の葬儀社から見積もりをとる
5つ目は、複数の葬儀社から見積もりをとることです。相見積もりをとることで葬儀費用の無駄を削減しやすくなるほか、多少の値引きに応じてもらえる可能性もあるためです。
ただし、葬儀社は早急に決める必要があることから、あまり多くの葬儀社から見積もりをとることは現実的ではありません。また、そもそも悪質な葬儀社であれば、見積もりでは安い金額を提示しつつも、葬儀を施行してからあれこれと理由をつけて追加料金を請求する場合もあり、最終的な請求額がもっとも安い葬儀社を見積もりだけでは判別することは困難です。
そのため、むやみに多くの葬儀社から見積もりをとるのではなく、信頼できる2社から3社の葬儀社に見積もりをとるとよいでしょう。
家族葬のアイリスでははじめからそのプランにおける葬儀の施行に最低限必要となる物品やサービスをすべて含んだ料金を提示しており、不明瞭な追加料金を請求することはありません。葬儀のお見積りをご希望の際は、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。
一日葬を検討する
6つ目は、一日葬を検討することです。
一日葬とは、通夜にあたる儀式を行わず、葬儀・告別式と火葬を1日で行う葬儀の形態です。儀式が1日だけであることから、斎場の利用費や宗教者に支払うお布施などの費用が削減できます。
直葬を検討する
7つ目は、直葬(火葬式)を検討することです。
直葬とは、通夜や葬儀・告別式を行わず、火葬だけを行う葬儀の形態です。斎場の利用費などが不要となり、もっとも費用を抑えられるお見送りの方法です。僧侶などの宗教者を呼び、火葬炉の前で読経をしてもらうこともできます。
ただし、直葬では十分なお見送りができなかったと感じ、後悔する可能性も否定できません。また、親族などから反対される可能性もあります。
そのため、直葬とする場合にはデメリットを十分に理解しておくとともに、あらかじめ近親者に事情を話し理解を得ておく必要があるでしょう。
信頼できる葬儀社に依頼する
8つ目は、信頼できる葬儀社に依頼することです。
葬儀費用は、依頼先の葬儀社によって大きく変動するものです。先ほども触れたように、契約後に不明瞭な追加費用が上乗せされ、最終的な請求額が高くなるケースもあるようです。そのような葬儀社に依頼してしまうと、費用の削減は困難でしょう。
信頼できる葬儀社に依頼した場合には、担当者が親身になって希望する葬儀について必要な物品・サービスを選定してくれます。また、後から不明瞭な追加料金がかかることはありません。
家族葬のアイリスははじめから必要な物品やサービスをすべて含んだ料金を提示しており、不明瞭な追加料金はかかりません。信頼できる葬儀社をお探しの際には、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。お電話は24時間365日お受けしており、深夜や早朝であってもご遠慮いただく必要はございません。
まとめ
葬儀代金を支払うお金がない場合に役所へ請求して受け取れるお金を紹介するとともに、役所への申請以外で葬儀費用を賄う方法や葬儀費用を抑える方法などについて解説しました。
役所へ申請することで葬儀費用の補填が受けられる制度としては、葬祭費や埋葬料、葬祭扶助などが挙げられます。また、その他の方法としては、生命保険から支払う方法や葬儀ローンなどの活用が検討できます。
葬儀費用の支払いで無理をしないためには、補填を受けられる制度について役所への申請を失念しないことに加え、信頼できる葬儀社を選定するとよいでしょう。
家族葬のアイリスでは全国対応で葬儀のトータルサポートを行っており、明瞭な料金体系を採用しています。お金に余裕がない場合の葬儀プランについても相談できる信頼できる葬儀社をお探しの際には、家族葬のアイリスまでお気軽にご相談ください。お電話は、24時間365日受付中です。
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