遺言書は自分で作る自筆証書遺言と公証人が関与する公正証書遺言がありますが、
どちらの遺言書を作る場合も弁護士や司法書士、行政書士などの
専門家に作成を依頼することができます。
厳密には作成の「補助」を依頼するわけですが、
これは遺言書は必ず本人の意思が必要ですので
完全な作成代行というのはできないからです。
今回は専門家への遺言書作成の依頼の仕方を考えてみます。
■遺言業務に詳しい専門家を選ぶことが重要
法律の世界も細分化されており、民事分野を得意としていない者もいます。
依頼者としては、民事分野の中でも相続分野を中心に
活動している専門家を選んで依頼する必要があります。
今では各事務所のHPなどで説明があるはずですから参考にしてください。
ある程度選定のめどが付いたら実際に合って会話をしてみましょう。
そして本能的に相性が良いと思った専門家に依頼すると安心です。
会話がかみ合わない、何か嫌な印象を受けるという場合は
自分の感覚を信じて依頼は避けた方が無難です。
依頼費用は専門家の種類や遺言の内容の複雑さによって増減します。
現在は専門家の報酬は自由化されたので
一律ではなくなりましたから、
それぞれの事務所の費用体系を見る必要があります。
遺言内容にもよるので、一概には言えませんが、
弁護士では10万円弱
司法書士では3万円~8万円
行政書士では3万円~5万円
程度とお考えください。
■遺言書ごとの依頼内容の違い
自筆証書遺言を作成する場合は、
専門家の役割は遺言内容の相談と遺言書の形式の確認です。
財産の分け方について争いが起きやすい内容かどうか、
争いを回避するにはどうすればよいかという相談です。
また付言事項について、
経験から争いが起きないような相続人を
納得させる文言をアドバイスしてくれます。
また遺言書の作成年月日や氏名、押印など
法が要求している要件を満たしているかどうかのチェックをしてくれます。
ですが作成自体は自筆でなければならないので
本人が手書きで記していきます。
公正証書遺言を作成する場合も
最終的には本人が公証役場に出頭するか、
出張料を払って病院などに出張してもらう必要がありますが、
公証人は弁護士等のように親身になって
遺言者に寄り添ってくれるわけではありません。
基本的に一回の面接で遺言書を仕上げなければならないので、
現場で内容の細かい相談などはできないからです。
そのため弁護士等専門家と遺言内容を事前に精査して文案を考えておき、
公証役場への出頭日時なども事前に調整のうえ出向く必要があります。
公正証書遺言の場合、弁護士等はこういった調整業務を行うことになります。