キリスト教式の追悼

キリスト教式の追悼

人が亡くなった後に供養をする意味で用いられる法要という言葉は、仏教においてのみ使用されるものです。

それではキリスト教ではどういうのでしょうか。日本では仏式の法要が一般的であり、なかなかキリスト教の儀式に出席する機会が少ないため、ついつい仏教用語を使ってしまったりすることもあるでしょう。キリスト教式の儀式は、仏式のものとは違うことが多々あり、初めて参列する場合には知らないことだらけかもしれません。少しでも知識として頭にいれておくと、いざという時に役立つこともあるでしょう。

また、同じキリスト教でもカトリック、プロテスタントと教派があり、それによって法要の行われ方も異なります。それでは、キリスト教式の法要である「追悼」についてお話ししていきます。
●カトリックの法要について

カトリックでは、人が亡くなってから3日目、7日目、30日目という時期に教会で追悼ミサが行われます。また、昇天日と言われる命日にあたる1年目にも追悼ミサをします。

そもそも仏式の法要は故人の冥福を願う供養のものでありますが、もともとキリスト教にはそういった概念がありません。キリスト教では供養というよりも、故人を思い出して懐かしむような意味で行われます。そのため、いつ行うかについても時期の詳細な決まりがなく、3年目、5年目、7年目などが主流となっています。

追悼ミサは神父の進行のもと、参列者が皆で聖歌を歌い、聖書の朗読やお祈りを捧げます。その後は、軽くお茶を飲む形の茶話会で、故人を偲びます。

さらにカトリックでは、亡くなった方すべての追悼の意味を込めて、毎年11月2日を万霊節(オールソウルズデイ)としていて、この日には追悼ミサを行います。この日は教会でミサをした後に、お墓に行ってお花をそえます。

hanataba●プロテスタントの法要について

同じキリスト教でも言い方が違っていて、プロテスタントの場合は「記念集会」と言います。こちらもまた、細かい決まりがないのですが、亡くなってから1週間後、1か月後に教会や自宅などで行われます。特に1か月後の「昇天記念日」と呼ばれる日に家族や親族、友人達が集まり行うことが多いです。

また、1年目の命日も同様に記念集会が行われます。

プロテスタントでは牧師が式を進行し、祈りをささげ、聖書を朗読し、全員で賛美歌を歌う形で進められます。礼拝が終わったら茶話会で参列者をもてなし、故人を偲ぶ会になります。

1年目の命日を過ぎれば、3年目や7年目といった区切りで行うことも多いですが、仏式のように細かい取り決めがありません。

このように、キリスト教では仏式の法要のように細かな決まりがなく、家族の気持ちによってそれぞれ行われ方も異なります。

日本に住んでいると仏式の儀式に接する機会が多いですが、キリスト教の法要に参加する機会もあるものですよね。仏式とキリスト教式ではこのように考え方や時期も異なることを念頭に置いておくといいかもしれませんね。