可愛い笑顔の5歳の娘
昨年、愛娘を病気で亡くしました。もうすこしで6歳の誕生日を迎える矢先の不幸でした。
娘は生まれつき重度の心臓疾患を持って生まれました。医師からはそう長くは生きられないだろうと娘が生まれた時に告げられました。
しかし、妻をはじめとする多くの人々の支えにより、娘はすくすくと成長し、もう少しで小学校に入学と思われた矢先の不幸でした。
気が動転している私たち夫婦の代わりに、エンディングプランナーの方がほぼすべての準備をしてくださいました。お葬式の準備は想像よりも目まぐるしいものでした。悲しみに暮れている私たちだけでは到底、娘を送り出すことはできなかったと思います。
今までの娘の通院や入院でかなりの費用がかかっていたので、あまり予算がないという言い辛いことも、話やすい雰囲気を作っていただきました。
心臓に負担がかからないように、どうしてもほかの子供たちと一緒に鬼ごっこやかけっこなどをすることができなかった娘。
娘に運動以外で何か興味を持てるものを、と妻と考え、毎晩本を読み聞かせしてあげることにしました。それがきっかけで本が大好きになった娘は幼稚園の本をすべて読みつくしてしまい、毎週日曜日には沢山の絵本を借りるため、近くの図書館まで通うようになりました。
そんな娘の姿を見た幼稚園の先生の提案で、お外で遊べない雨の日には娘がお友達みんなに絵本を読み聞かせしてあげる時間を作っていただきました。最初はとっても緊張していた娘でしたが、そのうち雨が降ると「今日は何のごほんを読んであげようかな」と大喜びするようになりました。以前よりもお友達と仲良くなり、晴れの日でも日陰に入ってお友達を応援するようになりました。
祭壇は、可愛らしいものが大好きだった娘のために、ピンク色をベースにしたやわらかい色のお花で飾っていただきました。また、初めに娘に買ってあげた、娘の一番のお気に入りの絵本を一緒に入れてあげたいという旨を伝えました。すると、エンディングプランナーの方が、ふと「どのような内容の絵本ですか。」と尋ねられました。その絵本は「あかいふうせん」という絵本で、男の子とまるで飼い犬のように男の子についてくる風船の物語です。娘はこのお話が大好きで何度も読み聞かせをしてあげました。おおまかにあらすじをお話しすると、「それなばらば、赤い風船で祭壇を飾り付けをするのはいかがでしょうか。」という提案をしていただきました。
そして式の当日。沢山のお友達が最後のお別れに来てくださいました。
「○○ちゃんのおかげでうちの子は本を読むことが大好きになったんです。」という保護者の方の言葉に、娘への誇らしい気持ちで思わず涙があふれました。
娘の見せてくれるニコニコとした笑顔は、どんなに疲れて帰ってきても私たち夫婦を勇気づけ、たくさんの思い出を残してくれました。
娘の思い出は、これからも決して色褪せることはありません。祭壇に飾った沢山の赤い風船が、きっと娘を天国まで導いてくれるでしょう。